サッカーと共に生きた建築家、太田徹さんが亡くなった。享年57才。
太田さんとは私が子供の頃からのお付き合いで、幾つかの仕事もご一緒させていただいた。若い頃の太田さんは、日に焼けたバリバリのサッカーマンで、とても格好良かった。仕事では、何度も何度も打ち合わせを重ね、図面を描き、模型を作り、酒を飲み、現場で闘った。
あんなに頑強な筋肉の持ち主だった太田さんの身体が骨になってしまった。
タフでクレバーなサッカーをする身体、強い筆圧で太い図面の線を描く、太田さんの身体が骨になった。
僕はお骨を拾い、筋肉を脱ぎ捨てた太田さんと向き合った。
これからは、筋肉を脱ぎ去った太田さんとのお付き合いが始まります。
これは違うステージでのお付き合いです。
人間は、どうしてもいつか、死んでしまう。
今までに幾つもの死と対面してきましたが、その人の骨と「心のようなもの」は我々の住んでいる世界に残ります。目の前に活動する肉体がなく、僕らの呼び掛けに答えてくれないのはどうにも悲しく淋しいのですが、僕らは莫大な故人の「心のようなもの」と、日々共に生きているのも事実です。
我々は今、たしかに活動する筋肉をまとって生きています。我々は精一杯、この身体を燃やして生きてゆくしかないですね。なるべく充実した、楽しい日々を過ごせるように。
太田さんから学んだものを、改めて大切に心に留め、また誰かに伝えてゆければと思います。そうやって、心と心を連綿と継ぎ足しながら、人は生きてゆくのでしょう。
太田さんのお骨を拾った日に、茅ヶ崎海岸で花火大会がありました。
今年の花火は、いつもより綺麗に見えました。
カシマシ娘 (木曜日, 16 8月 2012 19:08)
こんどりふぉーむおねがいします。
Hiroko Guadalajara (日曜日, 19 8月 2012 07:23)
偶然見つけた徹君のこと、徹君と親しかった友人と8月3日、メキシコシティーの空港で、徹君が遠くにそしてご両親のもとへ旅立っていたことを知りました。格好良かった姿しか思い浮かびません。お母様の訃報にメキシコからメールを送らせていただいたのが何十年ぶりのお話。初めて返信をいただいたのがついこの間でした。私たち同級生も心から徹君のご冥福をお祈りさせていただきます。いいお仲間だったんですね。