笑い、ユーモアの学会

「笑い学会」なるものがあることを発見し、先日公開研究会を覗いてみた。

「笑い」や「ユーモア」といったキーワードは、自分自身のデザイン・造形活動の中で大切なものとなりそうな予感がある。「笑い」という事柄を学問する組織があるならば、と、講演会場のある浅草へと寒い突風に吹かれながら出かけてみた。

この日の講師は日本在住16年のフランス人で、日本語で落語を演じる方である。「桃太郎」という創作落語を披露した後、「フランス人の笑い・日本人の笑い」というテーマで講演をされた。

フランス人の笑いは、政治家をバカにするなどというブラックジョークが多いという。そして日常会話の中のジョークも日本よりも断然多いそうだ。また、たくさんの人種が混在するため、一種の人種差別的なジョークも多いという。しかし日本にある「なんでやねん」と相手の頭をたたくような「つっこみ」は存在しないという。これはフランス人は決して「謝らない」という習慣があり、常に自分が正しいというスタンスがあるからだそうだ。頭をたたかれたならば笑いにならず、「なぜ、たたくのか?」と反発してしまうのだろう。

 

講演が終わると活発な質疑応答の時間がとられ、「学会」らしい雰囲気となっていた。「ユーモアとジョークの違いは?」という質問に対しては、「ユーモアは生き方、ジョークは演じるもの」という答えが返ってきていた。

 

なるほど、世の中にはいろいろな学会があるものである。

私がイメージしていた「笑い・ユーモアとデザイン・美術の関係」に関して研究するような人はほとんどいないらしく、少々、場違い、アウェーな空気を感じながら、列席した浅草のひとときでした。  

<2013/2/17>